ホーチミンのDistrict 1で、サイゴン川沿いのホテルを探すと候補は意外と絞られます。インターコンチネンタル、ルネッサンス、そしてこのルメリディアン・サイゴン。どれも川沿いに立地していますが、性格はかなり違います。
2025年12月、街がクリスマスのイルミネーションに包まれる時期に1泊してきました。マリオット・ボンヴォイのプラチナエリートとしての滞在で、ボトム予約からリバービューへのアップグレードあり、22階のクラブラウンジあり。結論から言うと、ルメリディアンらしいアートとフレンチの感性が詰まった、満足度の高い滞在でした。
ただ、立地の微妙な距離感やラウンジの混雑タイミングなど、泊まってみないとわからない部分もありました。そのあたりも含めて、実際の体験をまとめていきます。
ルメリディアン・サイゴン 施設概要
| ホテル名 | ルメリディアン・サイゴン (Le Méridien Saigon) |
|---|---|
| 所在地 | 3C Ton Duc Thang Street, District 1, Ho Chi Minh City |
| カテゴリ | マリオット・ボンヴォイ カテゴリー5(ポイント宿泊 35,000pt/泊〜) |
| アクセス | タンソンニャット国際空港からGrabで約30〜40分(約14.3万VND=約850円) |
| 客室数 | 350室 |
| 予約経路・ステータス | 公式サイト(ポイント+キャッシュ併用)/マリオット・ボンヴォイ プラチナエリート |
| 宿泊時期 | 2025年12月(1泊) |
アクセスと立地:便利だけど「歩き回る拠点」としてはやや不便
タンソンニャット国際空港からの移動は、迷わずGrabが便利です。到着ロビーを出て、アプリで呼んで乗るだけ。料金は事前確定なので、ぼったくりの心配がありません。空港使用料と通行料込みで143,000VND前後、日本円にして約850円。30分以上乗ってこの金額は、初めてベトナムに来る方にとってはちょっとした衝撃だと思います。
帰りのGrab利用明細。ホテルから空港までの料金で、143,000VNDは日本円で約850円。往路もほぼ同額でした。タクシーと違い交渉不要で、アプリ上で行き先も決済も完結するのがありがたいところです。
ホテルから空港へのルート。渋滞がなければ30分弱で着きますが、ラッシュ時は1時間近くかかることもあるので、特に帰りは余裕を持ったスケジュールをおすすめします。
ホテルはサイゴン川沿いのTon Duc Thang通りに面しています。ただ、観光の中心地であるベンタイン市場やドンコイ通りまでは徒歩15〜20分ほど。歩けない距離ではありませんが、ホーチミンの昼間は気温35度前後になることもあるので、観光拠点として歩き回るなら、もう少し市街中心寄りのホテル(パークハイアットやシェラトンなど)のほうが楽かもしれません。
ただ、その分ホテル周辺は落ち着いています。サイゴン川沿いの遊歩道は朝のジョギングにも向いていますし、Grabを使えばどこへ行くにも数万VND(数百円)程度。「ホテルでゆっくり過ごす時間も大切にしたい」というタイプの方には、この静かな立地のほうがむしろ合っていると感じました。
プラチナエリート特典と予約方法:ポイント+キャッシュで賢く泊まる
今回の予約は、マリオット・ボンヴォイの「ポイント+キャッシュ」を利用しました。12,500ポイント+2,295,000VND(約13,700円)という組み合わせです。
この価格感がどれくらいお得なのか、参考までに有償の通常レートを調べてみました。2026年2〜3月時点で、スタンダードルーム(シティビュー)の最安でも1泊5,000,000〜6,000,000VND(約3万〜3.6万円)が相場です。予約サイトや時期によって変動しますが、ハイシーズンの週末だと6,000,000VNDを超えることも珍しくありません。今回の予約をポイント1円換算で考えると、12,500P(約12,500円相当)+2,295,000VND(約13,700円)で合計約26,200円。有償相場の3万円台に対して7〜8割程度に収まっている計算です。劇的な割安感はないものの、ポイントの消費量が12,500Pと軽めなので、手持ちのポイントを温存しつつ少し安く泊まりたいときに使いやすい予約方法だと思います。
プラチナ会員として受けた特典は、客室がシティビューからリバービュー高層階にアップグレードされたこと、22階のエグゼクティブラウンジが利用できたこと、レイトチェックアウトが16時まで確約されたこと(帰国便が夕方発だったので、チェックアウト後そのまま空港へ向かえました)、そしてウェルカムギフトで1,000ポイントを選択したこと、の4点です。
客室(リバービュー):38平米の使い方がうまい
ドアを開けた瞬間、視界に飛び込んでくるのは壁一面の窓とサイゴン川。これがアップグレードの醍醐味だなと改めて感じました。
リバービュー客室の全景。黒と白を基調に、ルメリディアンのブランドカラーである赤がアクセントとして効いています。38平米の数字以上にゆとりを感じるのは、窓際のデイベッドが空間に奥行きを持たせているからかもしれません。
インテリアはモノトーンベースに赤のアクセント。ルメリディアンはマリオット系列のなかでも「アート&デザイン」を打ち出しているブランドで、客室のカラーリングにもそのコンセプトが反映されています。38平米という広さは東南アジアの5つ星ホテルとしては標準的ですが、デイベッドの配置やミニバーの収納の仕方が巧みで、実際の数字以上に広く感じました。
窓際の赤いデイベッド。ここに寝転がってサイゴン川を眺めるのが、この部屋での一番の過ごし方でした。行き交う貨物船をぼんやり見ているだけで、不思議と時間が溶けていきます。
窓から見えるトゥーティエム2橋。2022年に開通した比較的新しい橋で、夜になるとブルーにライトアップされます。この橋が見えるかどうかで、部屋の満足度がかなり変わると思います。
窓は床から天井までのフルハイトガラスで、カーテンを全開にすると部屋全体が自然光に満たされます。高層階だったこともあり、サイゴン川の対岸にあるトゥーティエム新都市開発エリアの建設中のビル群まで見渡せました。ホーチミンという街が今まさに変わりつつあることを、窓越しに実感する滞在でした。
ベッドサイドにはユニバーサル電源とUSBポートが両方あります。日本の充電器がそのまま使えるので、変換プラグは不要でした。
ミニバーにはベトナムのローカルビール「333(バーバーバー)」やペリエが入っていました。333は街中で1本2〜3万VND(約150円)で買えるので、コンビニで買い足すのも手です。
バスルーム:独立バスタブありの安心設計
バスルームは白基調の大理石風仕上げ。東南アジアのホテルではシャワーのみという客室も珍しくありませんが、ここは独立したバスタブがしっかり備わっています。大人が足を伸ばしても余裕があるサイズで、ガラスの仕切り越しに夜景を見ながら湯に浸かれます。長時間のフライトの後にこれがあるのとないのとでは、翌日の体調がまるで違うので、個人的にバスタブの有無はホテル選びの重要なポイントです。
独立したバスタブ。深さがあるので肩まで浸かれます。お湯の温度調整もスムーズで、日本のホテルに慣れた感覚でもストレスなく使えました。
シングルシンクの洗面台。ダブルシンクだとなお良かったのですが、一人旅や少人数なら問題ありません。照明が明るいのは地味にありがたいポイントです。
アメニティはMALIN+GOETZ。ルメリディアンの全世界共通ブランドで、柑橘系の爽やかな香りが特徴です。据え置きのポンプ式で、個包装タイプではありません。
バスタブとは別のシャワーブース。レインシャワーとハンドシャワーの両方があり、水圧は十分でした。排水も問題なし。
トイレは東南アジア標準のハンドシャワー付き。ウォシュレットはありませんが、清掃は行き届いていました。
バスローブとスリッパ。ローブは厚手でしっかりした素材です。スリッパも底に厚みがあり、館内を歩き回るのに十分なつくりでした。
クラブラウンジ(22階):ケバブが出てくるカクテルタイム
このホテルで一番印象に残ったのは、22階のエグゼクティブラウンジ「ルメリディアン・クラブ」かもしれません。プラチナ以上の会員が利用できるこのラウンジでは、カクテルタイム(17:30〜)にシャワルマ(ケバブ)が登場します。
ラウンジでケバブ。これは他のマリオット系ホテルではなかなか見ない演出です。グリルされた肉をスタッフがその場で切り分けてくれる形式で、好みの量をお皿に盛ってもらえます。専属シェフが常駐するようなライブキッチンではありませんが、ラウンジのフードとしては十分以上のクオリティでした。
一般的なクラブラウンジのカクテルタイムといえば、チーズとクラッカー、カナッペ数種、あとは乾き物という構成が大半で、正直なところ「夕食代わり」にはならないケースが多い。ここはそうではありませんでした。ケバブに加えて春巻き、温菜、スープ、デザートまで揃っていて、これだけで夕食として十分に成立します。
カクテルタイムのケバブ。スタッフが常駐していて、好みの量を切り分けてくれます。これを目当てに早めにラウンジへ向かうゲストも多い印象でした。
オードブル類。ベトナム風の揚げ春巻きや、ハムとチーズの盛り合わせなどが並びます。日替わりでメニューが変わるそうなので、連泊する方は変化も楽しめると思います。
ケバブとシャンパンをリバービューの席で。この組み合わせのために17時半にラウンジへ上がる価値は十分あります。
一点だけ補足しておくと、カクテルタイムの開始直後(17:30〜18:00頃)はかなり混み合います。窓際の席は早い者勝ちで、出遅れるとソファ席しか空いていないことも。窓際を狙うなら開始直後に行くか、逆に18:30以降の落ち着いた時間帯を狙うのがおすすめです。
一口サイズのプチケーキ。種類が多く、食後にコーヒーと合わせて少しずつ楽しめます。
グラス入りのムース。見た目の涼しさがホーチミンの気候に合っていて、甘さも控えめでした。
朝食ブッフェ(Latest Recipe):ドーナツウォールとフォーの共存
朝食は2階のレストラン「Latest Recipe」でのブッフェ形式です。プラチナ会員は2名まで無料で、ラウンジではなくこのレストランを利用できます。
ルメリディアンの朝食で目を引くのは、壁一面に並んだドーナツウォール。色とりどりのドーナツがずらりとディスプレイされていて、好きなものを自分で取る仕組みです。見た目のインパクトはかなりのもので、初日は思わず「おっ」と声が出ました。SNS映えを意識した演出だと思いますが、味もしっかりしていて見かけ倒しではありません。
ルメリディアン名物のドーナツウォール。朝食会場に入ってすぐ正面にあるので、最初のインパクトは大きいです。
フレンチ系ブランドだけあって、パンの質の高さには驚きました。クロワッサンはバターの風味がしっかりしていて、焼きたてのタイミングに当たると外はサクサク、中はもっちり。これだけでも朝食の満足度がぐっと上がります。
もちろんベトナム料理も充実しています。フォーはライブキッチンで注文ごとに作ってくれますし、バインミーの具材も自分で選べます。洋食と現地料理の両方がしっかり揃っているのは、インターナショナルなゲストが多いホテルならではの構成だと感じました。
クロワッサンとデニッシュのコーナー。焼きたてが次々と補充されるので、タイミングを見て取りに行くのがおすすめです。
サラダ、フルーツ、パン、ポテトにベーコンを盛り付けたプレート。洋食系のラインナップが充実しているので、まずはこのあたりから攻めるのが安定です。
チーズとハムのディスプレイ。フランス植民地時代の影響もあってか、ベトナムのホテルはこの手のコールドカットの質が意外と高い印象があります。
スイカ、グアバ、パイナップルなどのフレッシュジュース。南国のホテル朝食では、これが一番の贅沢かもしれません。
プール・ジム(9階):ハーレーが出迎えるウェルネスフロア
9階にプール、ジム、スパがまとまったウェルネスフロアがあります。エレベーターを降りると、最初に目に入るのが1929年製のサイドカー付きハーレーダビッドソン。ルメリディアンはこうした唐突なアートの配置が好きなブランドで、これもその一環なのですが、初めて見るとやっぱり驚きます。
ウェルネスフロアの入口に鎮座するヴィンテージ・ハーレー。こういう遊び心が、ルメリディアンのブランドらしさを形成しているんだと思います。
吹き抜けのバブルシャンデリア。プールエリアの天井から吊り下がっていて、水面に光が反射する演出が見事です。
プールからサイゴン川方向の眺め。プール自体のサイズは大きくありませんが、デッキチェアでのんびり過ごすには十分です。午前中は比較的空いていました。
プールは屋外で、サイゴン川と橋を望む方向に向いています。リゾートホテルのような広さはありませんが、宿泊者専用で混雑も少なく、のんびり過ごすには十分でした。ジムはTechnogymの最新マシンが揃っていて、窓に向かって走るトレッドミルは開放感があります。
Technogymのマシンが並ぶジム。24時間利用可能で、朝のランニングにも使えます。タオルとミネラルウォーターも常備されていました。
ジム内のデトックスウォーター。レモンやキュウリのスライスが入っていて、ワークアウト後にちょうどいい感じです。
夜景:トゥーティエム2橋のライトアップ
リバービュー客室を選ぶ理由があるとすれば、この夜景だと思います。日が落ちると、トゥーティエム2橋がブルーにライトアップされ、川面に光が揺れます。部屋の照明を落として眺めると一段と際立つので、ぜひ試してみてください。
客室から撮影した夜景。橋のライトアップは日没後すぐに始まり、深夜まで点灯しています。手持ちのスマートフォンでも十分に撮影できました。
夜のロビー。照明が落とされて、昼間とはまったく異なる雰囲気に変わります。
12月滞在だったので、エントランスにクリスマスの飾り付けがありました。常夏のホーチミンでクリスマスツリーを見るのは、ちょっと不思議な感覚です。
ホーチミンのマリオット系ホテルと比べてみる
ホーチミンにはマリオット系列のホテルが複数あるので、ルメリディアンを選ぶかどうかの判断材料として、主な違いを整理しておきます。
シェラトン・サイゴンは、ドンコイ通りに面していて立地が市街中心部に近い分、観光メインの旅行者にはこちらのほうが動きやすいと思います。以前宿泊したことがありますが、クラブラウンジの食事はルメリディアンほどの充実度はなく、特にカクテルタイムのフードはやや物足りない印象でした。立地の利便性を取るか、ラウンジと朝食の体験を取るかで判断が分かれるところです。
ルネッサンス・リバーサイドは、同じサイゴン川沿いでルメリディアンのすぐ近くに位置しています。施設はやや古めですが、その分レートが安い傾向にあります。コスト重視ならルネッサンス、ラウンジと朝食の体験を重視するならルメリディアン、という棲み分けになるのではないでしょうか。
なお、ベトナム滞在中にダナンにも足を延ばしています。ダナンのホテル事情については、他の宿泊記も参考にしていただければと思います。
滞在を終えて:1泊でも十分に満喫できるホテル
今回は1泊のみの滞在でしたが、不満らしい不満は正直見つかりませんでした。客室の清掃はきちんとされていましたし、ラウンジのスタッフも丁寧な対応でした。Wi-Fiも安定していて、仕事のメールやビデオ通話に支障はありません。
強いて挙げるなら、先述の通り観光エリアまで少し距離があること、ラウンジの窓際席が混みやすいこと、バスルームがシングルシンクであること、くらいでしょうか。どれも「惜しい」というほどのものではなく、むしろ価格帯を考えると非常によくまとまったホテルだと感じています。
ルメリディアンというブランドには、一定のクオリティの型があります。MALIN+GOETZのアメニティ、アートの配置、ドーナツウォールの朝食。世界中のルメリディアンに泊まっても、この「ルメリディアンらしさ」は共通していて、それが安心感につながっています。旅先での変数をなるべく減らしたいタイプの方にとって、ブランドの一貫性は大きな判断材料になるはずです。
マリオット・プラチナ会員でホーチミンに行く予定がある方には、このホテルは第一候補に入れていいと思います。ボトム予約でもリバービューに上がれる可能性がありますし、ラウンジの食事だけで夕食が成立する。有償だと1泊3万円以上しますが、今回のようにポイント+キャッシュ併用なら12,500P+約13,700円まで抑えられます。東南アジアのマリオット系列のなかでも、コストパフォーマンスは上位に入るホテルです。


コメント