羽田からの深夜便(AY62)で早朝のヘルシンキ・ヴァンター国際空港に到着しました。ここからは、同じくワンワールドアライアンスメンバーであるフィンエアーの短距離線(AY1471便)に乗り継ぎ、最終目的地のウィーンを目指します。
今回の旅程は、JALマイルで発券した特典航空券の一部です。長距離路線の革新的なシート「AirLounge」とは異なり、ここからは欧州内のスタンダード、いわゆる「ユーロビジネス」の世界に入ります。
「座席はエコノミーと同じでしょ?」「わざわざビジネスにする必要ある?」——そう思われがちな欧州内ビジネスクラスですが、実際に体験してみると、その価値はスペック表には現れない部分にあると感じました。北欧デザインが光るラウンジでの朝食から、アルプスを越えてウィーンへ至るまでの2時間半を、写真とともにレポートします。
| フライト概要 | |
|---|---|
| 航空会社 | フィンエアー(Finnair) |
| 便名 | AY1471 |
| 区間 | HEL(09:25)→ VIE(10:55) |
| 機材 | Airbus A321 |
| クラス | ビジネスクラス(座席:2F / 窓側・中央ブロック) |
| 利用ラウンジ | フィンエアーラウンジ(シェンゲンエリア) |
| 予約経路 | JALマイル特典航空券(欧州路線の一部区間として発券) |
発券の経緯と、ストライキに翻弄された出発前夜
今回の旅程はJALマイルで発券した特典航空券です。羽田→ヘルシンキ→ウィーンの往復で110,000マイル、そこに税金・燃油サーチャージ等が加わり、現金負担は90,560円でした。有償で同等のビジネスクラス往復を購入すると数十万円規模になるため、マイル活用としては納得感のある使い方だと思っています。
ただ、ここに至るまでの道のりが想定外に波乱含みでした。
もともとは中部国際空港(セントレア)発のフィンエアー便で予約していました。ところが出発が近づいたタイミングで、フィンエアーのストライキ予告が発表されました。予告日が自分の搭乗予定日と重なっていたのです。
欠航になってからでは遅いと判断し、一旦その予約をキャンセル。ANAのマイルを使って別の航空会社で代替ルートを手配しました。ところがその後、ストライキは直前になって回避されると発表されます。そうなると今度は代替で取った便を改めてキャンセルし、フィンエアーの羽田便でとり直す、という流れになりました。
出発の数日間で、予約→キャンセル→別手配→再キャンセル→再予約という工程を経ることになったわけです。出発空港もセントレアから羽田に変わっています。旅程自体は予定通り実現できましたが、あの直前の数日間は精神的に落ち着きませんでした。
フィンエアーは近年、労使交渉が難航してストライキに至るケースが繰り返されています。この航空会社でマイル発券をする場合は、代替プランをある程度頭に入れた上で予約することをすすめます。キャンセル・再予約が発生すると、マイルの再加算タイミングや手数料の問題も絡んでくるため、余裕を持ったスケジュールと資金が必要です。
ヘルシンキ空港 フィンエアーラウンジ(シェンゲンエリア)
入国審査をパスしてシェンゲンエリアに入ると、そこはもう「ヨーロッパ国内」の扱いです。搭乗ゲート22番付近にラウンジへの入り口があります。長距離フライトの疲れを引きずったまま乗り継ぎをするより、ここで一度立て直せるのは大きい。
アクセスとエントランス

ゲートエリアからやや外れた位置に設置された階段。3階がラウンジフロアです。

白を基調としたエントランス。有人カウンターもありますが、基本は搭乗券を自動ゲートにスキャンするだけで入室できます。乗り継ぎで時間を気にしているときに、この動線の無駄のなさはありがたく感じます。
インテリアと設備
ラウンジ内は、機能的でありながら無機質ではない、北欧らしい落ち着いた空間でした。リニューアルを経てよりモダンな雰囲気になっており、空港ラウンジとしての水準は高いと感じました。

広めのダイニングエリア。ネイビーとコニャック色のチェアが、ライトウッドの床と合わさって温かみのある印象を作っています。照明が蛍光灯ではないだけで、これだけ空間の雰囲気が変わるのかと改めて思いました。

ゆったりとしたソファ席。家具の配置に余裕があり、隣との距離感が快適です。長距離フライト直後の早朝でも、ここで30分過ごすだけで体の緊張がほぐれていく感覚がありました。

大きな窓からは駐機場が見渡せます。フィンランドの夏は日が長く、朝の低い角度の光が窓から差し込んでいました。

ハイバックの仕切りがついた個別ブース席。電源完備で、出発直前までPCを使いたい人には特に便利な設備です。仕切りがあることで周囲の視線を気にせず集中できます。

壁と一体化した木目調のロッカー。機内持ち込みサイズのスーツケースも収納可能です。一人旅だと荷物を持ったままラウンジ内を動き回るのが面倒ですが、ここに預けておけば身軽に過ごせます。地味ですが評価が高い設備です。
食事・ドリンク:北欧の朝食
朝の時間帯は、シンプルな朝食メニューが提供されていました。派手なコック常駐のステーションがあるわけではなく、セルフサービス形式です。素材の質に重きを置いたラインナップで、食事だけを目的に来る場所ではありませんが、乗り継ぎの朝食として十分に機能していました。

広めのドリンクカウンター。真鍮色のパイプ棚とタイルの質感がよく、清潔感が保たれています。

タッチパネル式のコーヒーマシン。フィンランドは国民一人あたりのコーヒー消費量が世界トップクラスとされており、ラウンジのコーヒーへの力の入れ方もそれに応じたものでした。長距離移動後の頭には、この一杯がよく効きました。

紅茶の選択肢もあり、ポットにはオーツミルクが用意されていました。牛乳と同等の扱いで置かれているあたりに、北欧の食文化の現在地を感じます。

ミニクロワッサン、キュウリ、ハム、チーズなどのコールドミール。品数は多くありませんが、野菜はシャキシャキとしていて新鮮でした。

外せないのがライ麦パン。独特の酸味とずっしりとした食感で、ハムとチーズを乗せたオープンサンドにするのが現地流です。腹持ちがいいので、このあとの機内食の有無に関わらず、ここで一枚食べておくことをすすめます。

濃厚なヨーグルトにブルーベリーなどのベリー類を合わせたもの。北欧の朝食の定番的な組み合わせです。
搭乗ゲートへ:空港内の風景
搭乗時刻が近づきラウンジを出ました。ゲートへ向かう途中にも、ヘルシンキらしいものが目に入ります。

早朝のためシャッターが閉まっていましたが、ムーミンショップの入口にはムーミンとスナフキンが立っていました。

フィンランドのコンビニ「R-kioski(アール・キオスキ)」。空港内でも街中に近い価格帯でお菓子や飲み物が買えます。ラウンジで食べ足りなかった場合の補完としても使えます。
AY1471便 搭乗記(A321 ビジネスクラス)
機材はエアバスA321。ヘルシンキからウィーンへ、飛行時間はおよそ2時間半です。

白地にネイビーのロゴ。ヘルシンキの夏の青空によく映えます。
座席:中央ブロックが生む「ゆとり」
欧州内ビジネスクラスの最大の特徴であり、議論の的になるのが座席構成です。専用のワイドシートや個室タイプではありません。

シート自体はエコノミーと同じ3-3配列。ビジネスクラス区画では真ん中の席(B席・E席)をブロックして使わない運用がとられています。
正直なところ、「たったそれだけ?」という感想は理解できます。ただ、実際に乗ってみると、隣に他人が来ないことが確約されているだけで体感は大きく変わります。肘掛けを気にする必要がなく、心理的なパーソナルスペースは実質2席分になります。

シートピッチはエコノミー標準と変わりません。足元を広く使えるわけではないので、この点は過度な期待をしないほうがいいでしょう。ただ、隣の空席に荷物を置いたり、少し体を斜めにしてくつろいだりといった使い方はできます。

搭乗時、前席のネットポケットにはミネラルウォーターのボトルがセットされていました。細かい配慮です。
機内食と飲み物
座席ポケットにはメニューブックが入っており、写真のクオリティが高く雑誌のような体裁でした。

「Onboard menu」として配布されるブック型のメニュー。

中にはサンドイッチやドリンクの価格が記載されていますが、これはエコノミークラス向けの有料メニューです。ビジネスクラスの乗客は、食事もアルコールを含むドリンクも全てコンプリメンタリーです。
離陸後、安定飛行に入ると温かい朝食がサーブされました。ただし飛行時間が2時間半程度しかないため、食事の提供から片付けまでの流れはやや慌ただしく感じます。長距離便のようにゆっくり食事を楽しむ時間的余裕はない、というのは正直なところです。

陶器のプレートで提供されるホットミール。ソーセージ、ワッフル、スクランブルエッグという王道の朝食メニューです。温かいパンとフレッシュフルーツも添えられていました。
ドリンクはオレンジジュースをいただきました。フィンエアーといえばブルーベリージュースが有名ですが、今回は選びませんでした。マリメッコ柄のナプキンは機内の色味としてよく機能しており、食事に少し楽しさを加えてくれます。
ユーロビジネスは「乗り継ぎ疲れ」を緩和するための選択肢
ヘルシンキからウィーンまで、フライト自体は約2時間半でした。
単なる移動手段として割り切るならエコノミーで十分な距離です。しかし、長距離フライトの直後にこの乗り継ぎが来るという文脈で考えると、話は少し変わります。ラウンジで体を落ち着かせ、機内では隣席を気にせず過ごせる——その「確約された静けさ」が、ウィーン到着後のコンディションに影響するのは確かでした。
JALマイルで欧州特典航空券を発券する際、乗り継ぎ区間も同じビジネスクラスで予約できるのであれば、追加のマイルコストに対する実質的なメリットは十分にあると個人的には感じています。なお、前の長距離区間であるAY62(羽田-ヘルシンキ)のビジネスクラス体験については別の記事に詳しくまとめています。


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